「プリッキュア〜プリッキュア〜一番かっこいい赤いプリキュア〜♪」
「あの……ラブ、その歌は何?」
鼻歌まじりに歌っているラブにせつなが困惑気味に尋ねる。
ここはせつなの部屋だ。イースナケワメーケを無事に倒したラブと
せつなは、桃園家に戻ってきていた。夕ご飯まではまだ少し時間があるので部屋の整理中だ。

「せつな、一番格好いいって言われて嬉しかったんでしょ?」
「え……っ」
せつなは顔を赤らめた。その表情を見てえへへ、とラブは笑う。
「顔真っ赤だよ〜せつな。犬の運動会にも応援に来てって頼まれちゃったもんね」
今日できたばかりのせつなの机の上にはたけし君から貰った
犬の運動会の時間と場所のメモが置いてある。
よほどのことが起きない限り、せつなは応援に行くつもりでいた。

「せつな、ティッシュは机の上でいいよね」
「え……ええ、お願い」
ラブはボックスティッシュを机の上に置くと、ラブの買ってきた「その他いろいろ」
――文房具だとかぬいぐるみだとか――を考え考え部屋の中に配置している
せつなにつつっと近寄る。

「ラブ、何?」
突然ラブの顔が近づいてきたのでせつなはぎょっとしたように背を反らせる。
「うん、今はすごくいい顔してるよ、せつな」
「え……そう?」
「うん、あのオムライスに描いた顔みたい」
「そう……かしら」
せつなは自分の顔に触った。触っても表情は分からないのだけれど。
「そういえばせつなってさー」
ラブはせつなが手に持っていたぬいぐるみを手に取るとパペットのようにして
動かす。

「今のところ、食事全部食べてるよね。嫌いなものとかない? 大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ」
せつなはにっこり笑った。
「ラブやみんなが作ってくれるもの、すごくおいしいもの。いくらでも食べられるわ」
「よーし! じゃあ今度、また腕によりかけて朝ごはん作るねっ!」
腕まくりをするラブに「あ、ちょっと……」とせつなは困ったような表情を浮かべた。
「ん? せつな、どうしたの?」
「あの……、ちょっとラブにお願いがあって」
「お願い? なになに?」
「料理の仕方、教えてほしいの。私も作りたくて」
「えーっと、せつな、気はつかわなくていいんだよ? 無理してない?」
ううんとせつなは首を振った。

「私も、私の作った料理をラブたちに食べてもらいたいの。だから……」
教えて。そういうせつなにラブは今度は大きく頷いた。
「じゃあ、明日の朝も私が作ることになってるから一緒に作ろうよ」
「ええ、頼むわ」
――せつなの手料理かあ……
想像して思わずラブの顔が緩んだ。ここ数日見ている限り、せつなは
色々なことを比較的器用にこなすタイプのようだし、きっと料理もすぐに
上手になるだろう。
るんるん気分で片づけを進めているラブの背中をせつながじっと見つめる。

「ラブ……」
せつなが背後からラブを抱きしめた。
「わわっ、せつな!? どうしたの!?」
「たけし君ね、一つだけ間違ってると思うの」
「へ!? どういうこと!?」
慌ててラブはせつなの顔を見直そうとするが、せつなはラブの背に隠れたままラブには
顔を見せてくれなかった。
「一番格好いいプリキュアは、赤いプリキュアなんかじゃないわ。
 一番格好いいのは、ラブよ……」
「ちょっとせつな、何言ってるの?」
やっとせつなが背中から離れたのでラブはせつなに向き直る。
「ラブのことを羨ましく思っていたって、前に話したでしょ」
「うん」
「だから、ラブのほうがずっと格好いいのよ。赤いプリキュアより」
「えええ、そんなこと言ったって……」
ラブの顔を見てせつなが笑みをこぼした。

「顔真っ赤よ、ラブ」
「だって、せつなが変なこと言うから〜」
「ちっとも変なんかじゃないわ」
「もう、片付けしよ! 片付け!」
照れ隠しのようにラブは乱暴に段ボール箱の中身を出し始めた。
せつなは悩みながら、一つ一つ丁寧に場所を決めてしまっていく。

-完-

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